湖底から地球環境変動に迫る

私たちの研究室は、水域の環境史を読み解く研究をしています。

湖底や海底にたまっている堆積物には、その水域の歴史のみならず、流域から地球環境に至る環境の歴史が逐一記録されています。

このような堆積物を詳しく分析することで過去から現在までの環境変遷史を精緻に明らかにする事が可能です。

復元する時間スケールは、数十年から数百年、さらに数千年から数万年にわたる環境変化を明らかにしています。

私たちが住む国土に影響を与えた気候変動やその要因の解明、人間活動と湖沼の堆積作用の関係の解明、それに、堆積物を用いた古地震性イベント堆積物の研究を行っています。

 

研究の進め方は、「第一次産業」型の研究です。

屋外や室内実験室で実際に手を動かし汗をかきながらデータを採集して、このデータに基づいて科学的考察を行います。

  1. 現地調査
  2. 堆積物解析(堆積物の処理、各種分析)
  3. 結果に基づく考察 (先行研究論文の読みこなし、論文執筆)

 

井内研究室では、野外調査や実験・分析も仲間と協力しながら行うのが基本!

 

泥いじりだと侮ることなかれ!

 

だんだん形になっていく過程を実感しながら、ワクワクする地球環境を探求する研究を行っています。

 

「学問は楽しくやるものだ」

井内ゼミは、気候変動や突発的な災害などの自然現象や人類を含む生物に関する幅広い生態系に関する知識が卒業研究およびその後の人生に役立つと考えています。

すぐには役に立ちそうもない知識こそが長い人生でゆっくり役に立つものとも考えています。

 ゼミでは、学問の取り組み方を教えます。ゼミに参加する学生は、ここで、各個人のテーマのもと、自分自身でデータを収集して、分析や解析を行うことで結果を得ていきます。ここから、どんなことになっているのか?それを考えていく考察作業を行い、最終的に論文としてまとめていきます。

 卒業後も、進学等でそのまま学問の世界に残る人も、世間に飛び出し社会人になる人にも、このゼミで経験する貴重な時間の中で、ぜひ「楽しむ」ということを感じてほしいと思います。もちろん、同じ漢字で表現しますが、「たのしい」と「らく」というのは全く違います。時には悩んだり、壁にぶち当たることも経験するかもしれません。そういう平坦な道ではない、起伏に富んだ道のりを一歩ずつ歩んでいく。時には協力しながら、ゼミのみんなと一緒に学んでいく。そして、歩んできた道のりのゴールになる卒業論文あるいは修士論文が、自分自身にとって、そして他の方にも納得してもらえるような”満足できるいいもの”として作り上げていくというのが井内ゼミの基本的なスタンスです。そうそれば、「学問を楽しむこと」というものが、これからの長い人生でときには役に立つものと思っています。

作業はみんなの共同作業(野尻湖実習での集合写真)
作業はみんなの共同作業(野尻湖実習での集合写真)
船上での作業風景です。船酔いに注意!!
船上での作業風景です。船酔いに注意!!
船上では、堆積物のサンプリングや、特殊な装置を使って水底下の地層を調べます
船上では、堆積物のサンプリングや、特殊な装置を使って水底下の地層を調べます
2012年には、福島県の猪苗代湖でボーリング調査が行われました。福島大学との共同プロジェクトです
2012年には、福島県の猪苗代湖でボーリング調査が行われました。福島大学との共同プロジェクトです
半裁した堆積物 (私たちはこれを”コア”と呼んでいる)
半裁した堆積物 (私たちはこれを”コア”と呼んでいる)
これがコアの一例。地層の色やにおい、構成粒子のサイズの違いがあります
これがコアの一例。地層の色やにおい、構成粒子のサイズの違いがあります
ワイワイやりながらのコアの一次処理 風景
ワイワイやりながらのコアの一次処理 風景
実験室では粒度分析装置などを使ってデータ生産します
実験室では粒度分析装置などを使ってデータ生産します
実習風景です。先生や先輩方が親身になって指導・相談に乗ってくれます。
実習風景です。先生や先輩方が親身になって指導・相談に乗ってくれます。

研究をしている主な湖沼

井内研では、これまで日本各地の様々な水域(淡水湖、汽水湖、ラグーン、内湾、海洋)で調査研究を行ってきています。

研究室には、各地から採取してきたサンプルがたくさんあります。場所や地層の深さによって色の違いやサイズの違いがあるのが大変面白いです。

 

以下に代表的なものを紹介します!

琵琶湖 Lake BIWA

言わずと知れた日本一の面積を有する湖です。

 

音波探査、堆積物分析を軸にした研究を行っています。

 

【主な研究テーマ】

  1. 琵琶湖に影響を与えた気候変動とその要因に関する研究
  2. 生物源シリカ量の古気候プロキシ評価
  3. ピストンコアを用いた過去4.5万年間の環境変動の復元

野尻湖 Lake NOJIRI

ナウマンゾウ化石が出土する湖として有名!

 

こちらでも、音波探査と堆積物解析を軸とした研究を行っています。

猪苗代湖 Lake INAWASHIRO

福島県にある日本で4番目の面積を有する湖

 

2012年に掘削調査が行われて、湖の成立が42000年前であることがわかっています。

この湖では、地震性イベント地層が発見されています!!

 

【主な研究テーマ】

  1. 猪苗代湖に影響を与えた気候変動とその要因に関する研究
  2. 堆積物を用いた古地震に関する研究

 

霞ヶ浦 Lake KASUMIGAURA

茨城県にある日本で2番目の面積を有する湖

 

この湖は、海から汽水湖。そして現在のような淡水湖と、環境が大きく異なっている湖です。

 

【主な研究テーマ】

  1. 霞ヶ浦の形成史に関する研究
  2. 近年の環境に関する研究

 

丸沼 Marunuma Pond

群馬県にある小さな池です。

この池は、日光白根山の爆発溶岩によって堰き止められてできました。

もともとは直径600m弱の楕円形の小さな池だったのですが、ダムがつくられて、水位や面積が大きくなっています。

この湖沼では、近年に起きた洪水などの記録が堆積物中に保存されています。

中海 Nakaumi lagoon

島根鳥取両県にまたがる汽水湖

 

国政の方針に翻弄された水域です。

一ノ目潟マール Ichi-no-Megata maar

秋田県男鹿半島にある爆裂火口湖

湖底に土の年輪(年縞:ねんこう)が堆積している珍しい水域

2017年 秋の榛名湖
2017年 秋の榛名湖
2015年冬 夕刻の野尻湖
2015年冬 夕刻の野尻湖
2013年夏の琵琶湖 水面の奥底にたまる地層は何をモニタリングする?
2013年夏の琵琶湖 水面の奥底にたまる地層は何をモニタリングする?
霞ヶ浦 2014年
霞ヶ浦 2014年
野尻湖!! 実習でもいくよ!!
野尻湖!! 実習でもいくよ!!
湖底の泥はカラフル!?
湖底の泥はカラフル!?
試料の採取作業中
試料の採取作業中
湖底の泥に、バーコードが!! 何故?
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船上調査 意外に楽しい!
船上調査 意外に楽しい!
実習風景の一コマ
実習風景の一コマ
節目でのコンパ いつもWの文字が!?
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2014年度版 Wサイン
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霞ヶ浦調査(3年生実習調査) 2014.5.24.
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